RAJ事務局からのお知らせ
2019年5月19日北海道ブロックシニア初任者講習
日 時:5月19日(日)10:00〜17:00
参加者:10名
場 所:北海道 札幌
講 師:藤原尚雄(専務理事)、原田夢(技術安全部会)
講習内容
資格の目的・行動規範
法的責任についての考察
事故・過失はどこに内在しているか
保険の基礎知識
具体的な業務における過失の抑止と排除
CSRについて
ペーパーテスト(効果測定)
<東日本ブロック>で開催された<シニアガイド初任者講習>についてレポートします。
シニアガイドとはツアーを行う際の責任者になります。ラフティング協会ではシニアガイド制を導入し、ツアーには必ず1名以上のシニアガイドが帯同することを義務化しています。
<北海道とはいうものの、他のブロックのガイドが受講することが可能です。この時期は雪山や海外で過ごしたガイドたちがラフティングシーズン開幕前に戻ってくる時期。
今回もそれぞれのホームリバーに向かう途中、そのついでに東京で受講する参加者もいました。
また外国籍のガイドも講習に参加しています。国籍問わずRAJはシニアガイドを認定しています。
この講習は西日本と東日本でも予定されています。>
<メイン担当講師であるラフティング協会専務理事の藤原尚雄氏は総務省消防庁や警視庁、各消防本部、消防組合に急流救助やロープ救助の講義を行っているレスキューインストラクターいわばリスクマーネジメントの専門家。 その藤原氏の豊富な知識と経験に裏打ちされた事例を基に、起きてしまったアクシデントへの対処や責任を考察し、ガイドとして備えるべき事柄は何か?を受講生たちに問題定義していきます。>
ここでは授業内容をシニアガイドとして備えるべき6つの条件と銘打ってレポートしておきます。
「シニアガイドとして備えるべき6つ条件」
①シニアリバーガイドとしての行動規範
シニアガイドになる物理的条件、どういう人物がシニアガイドとして相応しいのか理解を深めておく。
②リバーガイドとしての責任
事故を起こさないことが大前提であるが絶対に事故が起きらないとは限らない。最悪な事態を想定し、準備することもリバーガイドとして責務である。 考えたくはないが、ラフティングツアーにおいて死亡・後遺障害のような大きなアクシデントが生じた時、運営するスタッフにはどういう責任が問われるか? 過去の事故事例や裁判事例を基にリバーガイドに関わる法的責任を様々な角度から考えていきます。
③リスクマネージメントの本質への理解
リスクマネージメントとは内在するリスクを予見して、排除または回避することである。 内在するリスクを環境、人、物、行為など項目分けをしてさらに時系列まとめ、TODOを整理する。 (緊急連絡網の整備、レスキュー技術、ファーストエイドの技術や保険、再発防止など)
④第三者にリスクマネージメントを証明する
事故が起きたときに適切な措置が行えること大前提であるが、その措置した技術はどんなエビデンスで行っているのか?第三者に証明する証拠物件が存在するのか? 資格フォルダーを推奨する訳ではなく、対外的に(特に業界とは関係ない第三者)リスクマネージメントの努力を証明することが大切。各関係機関の認定資格の保持も大切な準備と言える。ただし現場では『資格の数=対応能力が高い』とは言えず、『高い技術、身体能力や経験=対応能力が高い』とも言える。すべてのバランスを程よく高みへと目指していくことがリスクマネージメントに必要と言えます。
⑤アクシデント発生の善後策
保険についての基礎知識、理解を深める。傷害保険と賠償責任保険、それぞれの特徴と役割について考察する。
⑥社会的地位向上への意識
ラフティング業界が社会における責任を果たすため、生命、環境、経済、コンプライアンスの観点から陥りがちな慣習に毅然とした自我を保つために守るルールを考える。
<以上、認定書をもらった参加者はほっと一息。
参加者の経験値は様々で、ガイドをはじめて3年目の初めての受講者もいれば国内外の河川で活躍しているベテランガイドもいます。この場所が新たな交流隣、それぞれの刺激になるいい機会でもあります。>
雑感
<講習が終わると一様に参加者はツアーに出るのが怖くなったと感想を持ちます。今までぼんやりと感じていたシニアガイドとしての重責が明確化されるからではないかと思います。常に最悪の事態を想定し、準備して、楽観的に振る舞うことがシニアガイドに求められるます。不安の払拭は日々の行動から始まります。終わりのない安全管理に取り組む彼らは協会にとっても頼りになる素晴らしい人材です。>
<文・写真 原田夢(技術安全部会 株式会社NAC)>